倒産しても株価がゼロにならない?? 

普通の考え方だと破産法を適用するような企業は万策尽きて破産するわけでエクィティ価値は、ゼロというのがほとんどですが、不振企業のリストラや投資のプロが多数居るアメリカでは日本では簡単に想像できない事が起きます。

 

先般記事に書いたカリフォルニアの電力会社PG&E(PCG)ですが、破産法適用の検討が報道されて株価は一気に6ドル前後まで下落したのですが、破産法の申請が近づくにつれ株価が上昇し、申請後には13ドルを超えるとんでもない状況になっています。

 

破産法が適用される場合は、普通株優先株ぐらいは完全にワイプアウト、債権も大幅な額面割れか大幅に希薄化されたワラント等に転換されればまだラッキーな方です。ところが、今回は最初の破産法適用の検討は苦し紛れの脅しであるとマーケットにとられたところで株価が大幅下落、DIPファイナンスを調達して本当に申請すると見えてきたところで株価がリカバリしています。 これは破産法を適用することでワラワラと出て来る火事の責任を問う訴訟を遮断することが出来る、リスクを限定できれば、止血できて、電力事業は手堅い、すなわち、キャッシュを稼げるという事を市場が読み取っていることを意味しています。

 

電力会社は沢山の負債を発行していますので、これを安くかき集めたファンドがその分配や会社の持ち分に化けることを狙って活発に動いています。ハイイールド債の破綻でも電力絡みは最終的に90%以上回収できるというデータもあるので、鉄板に近い投資シナリオではないかと思います。

 

でも、そもそも州法や州議会が送電線の所有者を火災のライアビリティから守らないという特異な状況を作りだした顛末は、DIPファイナンスの高利貸しのコストやこういったディストレス投資家の儲けを電気代を支払う州民に負担させているようなものです。 一見電力会社の責任を問う形で倒産させたかに見えますが、結局は州民負担で倒産ビジネスのプロを太らせているということで、政治のアホさを感じます。

Mr. Rebates